FIREの4%ルールってどういうことなのでしょうか。具体的に解説していきます。
ご挨拶と論文紹介
みなさんこんにちは。未来の先達 ライターの水崎です。このブログでは、現在老後に差し掛かっている方や、これからの老後を準備されている方、FIREを達成しようとしている方に向けて、役立つ情報を私の経験とGoogle Scalarの論文をもとに書いています。
今回は、FIREの4%ルールについて論文を調べてきました。FIREに興味があるけど、どのように資産を管理してFIREを目指していけばいいのかわからない、どうして4%なのか、という人に向けて記事を書いてみました。
人生100年ともいわれている中、退職した後は第二の人生です。私も70を過ぎました。まだまだ元気に過ごしていくつもりですが、今後の人生の指標として、どのように生きていけばそんなよい人生が送れるのか、第二の人生を豊かに過ごしていくにはどのように過ごしていけばよいのでしょうか。みなさんの参考になれば幸いです。
こんにちは!孫のライトだよ!今回参考にした論文はこれ!詳しく解説するよ!
記事の一番下に論文の概要と結論を載せておくよ。気になる人は読んでみてね。
2023年 退職の時間:4%引き出しルール (Time to Retire: The 4% Withdrawal Rule)
著者:Rob Brown(経済学博士、ファイナンシャルプランナー)
https://www.cnbc.com/2024/05/13/why-it-might-be-time-to-rethink-the-4percent-retirement-withdrawal-rule.html
2018年 日本における老後の資産減少行動:予防的貯蓄と遺産動機の相対的重要性 (The Wealth Decumulation Behavior of the Retired Elderly in Japan: The Relative Importance of Precautionary Saving and Bequest Motives)
著者:Yoko Niimi(政策研究大学院大学 助教授)
著者2:Charles Yuji Horioka(神戸大学 名誉教授、経済学博士)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0889158318300765
2019年 日本における退職、健康、長期介護の資金調達 (On Financing Retirement, Health Care, and Long-Term Care in Japan)
著者:Ellen R. McGrattan(ミネソタ大学 経済学教授)
著者2:Kazuaki Miyachi(大阪大学 経済学博士)
著者3:Adrian Peralta-Alva(国際通貨基金(IMF)エコノミスト)
https://www.imf.org/en/Publications/WP/Issues/2018/11/28/On-Financing-Retirement-Health-and-Long-term-Care-in-Japan-46355
2021年 日本における退職、幸福、健康 (Retirement, Happiness, and Health in Japan)
著者:S. Okamoto(同志社大学 経済学部 教授)
著者2:E. Kobayashi(早稲田大学 社会科学部 准教授)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8681795/
目次だよ!
目次
結論
結論:FIREを目指すための「4%ルール」とは、退職後に年間生活費として総資産の4%を引き出す方法。
なるほど!でも、どうして4%ルールなんだろう。5%とか10%じゃだめなのかな。
鋭い指摘だね。下の記事で解説してみたよ。よかったら覗いてみてね。
0.はじめに
近年、「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」というコンセプトが注目を集めています。特に若者の間で、経済的独立を早期に達成し、仕事から解放されるライフスタイルが人気です。FIREを目指すための重要な指針の一つが「4%ルール」です。このルールは、リタイア後の生活費をどのように計画するかにおいて非常に重要な役割を果たします。本記事では、「【FIRE】FIREの4%ルールってなに?具体的にどのくらいの資産を用意したらいいの?それぞれの資産はどういったリスクがあるのか。【論文をもとに解説】」をテーマに、FIREと4%ルールの基本的な概念、具体的な資産準備の方法、およびそれぞれの資産に伴うリスクについて詳しく解説します。
スポンサードリンク1. FIREとは何か?
FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の略で、経済的に独立し、早期に退職することを目指すライフスタイルです。このライフスタイルは、自由な時間を持ち、自分の好きなことに集中できるという魅力があります。
1.1 FIREを目指すための基本的な考え方
FIREを目指すには、まず収入を増やし、支出を抑えることが基本です。これにより、早期に多くの資産を蓄積することが可能になります。具体的には、高収入の仕事に就く、複数の収入源を持つ、副業をするなどして収入を増やし、一方で生活費をできる限り節約することが重要です。
また、蓄えた資産を効果的に運用することもFIREの達成には不可欠です。投資によって資産を増やし続けることで、早期退職後の生活費をカバーすることができます。
まずは収入を増やして支出を抑えること!これが大前提なんだね!
1.2 4%ルールとは何か?
4%ルールとは、退職後に年間生活費として総資産の4%を引き出すことで、資産を長期間にわたって維持する方法です。このルールは、過去の株式市場のデータに基づいており、一般的には安全な引き出し率とされています。つまり、100万円の資産があれば、年間4万円を引き出す計画です。
Rob Brownの「Time to Retire: The 4% Withdrawal Rule」によると、このルールは過去の米国市場のリターンを前提としていますが、すべての市場で同じ効果があるわけではありません。そのため、FIREを目指す人々は、自分の住む国や市場の状況に応じて計画を調整する必要があります。
資産から4%を引き出すから「4%ルール」なんだね!
2. 具体的な資産の準備
FIREを達成するためには、具体的にどのくらいの資産を用意すればよいのでしょうか?ここでは、必要な資産額の計算方法と、資産の準備方法について詳しく見ていきます。
2.1 資産額の計算方法
まず、年間生活費を見積もることが重要です。生活費には、家賃や住宅ローン、食費、光熱費、保険料、娯楽費などが含まれます。これを基に、4%ルールを適用して総資産額を計算します。
例えば、年間生活費が300万円であれば、総資産は300万円 ÷ 0.04 = 7500万円必要となります。この計算は単純ですが、退職後の予期しない出費やインフレも考慮に入れることが重要です。
経済の状況によって必要な金額は変わるから、リスクを抑えるなら3%とかもっと低くしないといけないね!
2.2 資産の準備方法
資産を準備するためには、まず貯蓄計画を立てることが必要です。高収入を維持しつつ、生活費を抑えて貯蓄を最大化することが求められます。また、投資も重要な要素です。株式、債券、不動産、投資信託など、リスクとリターンのバランスを考慮しながら分散投資を行います。
日本における退職後の資産減少行動についての論文(Yoko NiimiとCharles Yuji Horioka著)では、予防的貯蓄が重要であることが示されています。これは、予期しない医療費や親の介護費用などのために、一定の資産を確保しておく必要があることを意味します。
高収入を維持!これがまた難しいんだ!
3. それぞれの資産に伴うリスク
資産を運用する際には、それぞれの資産に伴うリスクを理解し、適切に管理することが重要です。ここでは、主要な資産クラスについてのリスクを考察します。
3.1 株式のリスク
株式は高いリターンを期待できる一方で、価格変動が大きくリスクも高いです。特に短期間での値動きは予測が難しく、大きな損失を被る可能性があります。長期的には市場全体の成長を享受できることが多いですが、個別株の選択には慎重さが求められます。
Rob Brownの研究によると、市場が高い時に多くの株式を売却し、低い時に少なく売却することで内部収益率(IRR)を向上させる新しい退職分配ルールが提案されています。これにより、株式のリスクを抑えながらリターンを最大化することが可能です。
株式はリターンは高いけど、価格変動が大きいんだね!
3.2 債券のリスク
債券は株式に比べてリスクが低いとされていますが、金利の変動に敏感です。金利が上昇すると債券価格は下落するため、長期債券を保有する際には金利リスクを考慮する必要があります。また、信用リスクも存在し、発行体が債務不履行に陥る可能性もあります。
日本の研究では、退職後の資産管理において債券の重要性が指摘されています。債券は安定した収入を提供するため、ポートフォリオのリスクを分散するための重要な要素となります。
債券は金利の変動に敏感なんだね!債務不履行になる可能性もあることを考えると、投資対象はよく考えないとね!
4. FIRE達成のための投資戦略
FIREを実現するためには、資産運用が重要な役割を果たします。投資戦略をしっかりと立てることで、リスクを管理しながら資産を増やすことができます。ここでは、FIRE達成に向けた具体的な投資戦略を紹介します。
4.1 分散投資の重要性
分散投資は、リスク管理の基本です。一つの資産クラスに依存せず、株式、債券、不動産、投資信託など、複数の資産に分散して投資することで、特定の資産が下落した際のリスクを軽減できます。
具体的な方法としては、以下のようなポートフォリオを構築することが考えられます:
- 株式:高リターンを狙いつつ、リスクも高いため、ポートフォリオの50%程度を株式に配分。
- 債券:安定した収入源として、ポートフォリオの30%程度を債券に配分。
- 不動産:資産の価値を維持しつつ、賃料収入を得るために、ポートフォリオの10%程度を不動産に配分。
- その他:投資信託や現金、その他の投資機会に残りの10%を配分。
このような分散投資により、リスクを抑えつつ、安定したリターンを目指すことができます。
4%ルールを維持したいなら分散投資はやっぱり重要だね!
4.2 長期的な視点での投資
FIREを達成するためには、長期的な視点で投資を行うことが重要です。市場の短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な成長を見据えて資産を運用することで、安定したリターンを得ることができます。
長期投資の具体的な方法としては、以下のポイントを考慮してください:
- インデックスファンドへの投資:市場全体の成長に連動するインデックスファンドは、長期的なリターンを狙う上で有効な手段です。
- 定期的なリバランス:ポートフォリオの構成比率が大きく変動しないように、定期的にリバランスを行い、目標比率を維持します。
- ドルコスト平均法の活用:定期的に一定額を投資することで、市場の変動に左右されずに平均購入価格を抑えることができます。
目先の値動きに惑わされないようにね!
5. FIRE達成後の資産管理
FIREを達成した後も、資産を適切に管理し、持続可能な生活を維持することが重要です。ここでは、FIRE達成後の資産管理について詳しく説明します。
5.1 引き出し戦略の再評価
FIRE達成後は、資産の引き出し戦略を見直す必要があります。4%ルールを基本としつつ、状況に応じて引き出し割合を調整することが大切です。Rob Brownの研究では、退職後の生活水準を向上させるために、市場の状況に応じた引き出し戦略を提案しています。
具体的には、以下の点に注意して引き出し戦略を設定しましょう:
- 市場が好調な時期:資産の一部を多めに引き出し、必要な生活費をカバーします。
- 市場が低迷している時期:引き出し額を抑え、資産を維持することで長期的なリスクを軽減します。
- 最低限の引き出し額:常に必要最低限の生活費を確保し、不測の事態に備えます。
基本を4%で、突発的な支出に関しては、その都度ポートフォリオを変えなくてはいけないね!
5.2 資産の持続可能性を確保する方法
FIRE達成後も、資産の持続可能性を確保するために、以下の方法を実践します:
- 支出の管理:生活費を常に見直し、無駄な支出を削減することで、資産を長持ちさせます。
- 副収入の確保:FIRE後も副業や趣味を通じて収入を得ることで、資産の減少を抑えることができます。
- 健康管理:健康な生活を維持することで、医療費の増加を防ぎ、資産の持続性を高めます。
6. FIRE達成に向けたリスク管理
FIREを目指す上で、リスク管理は非常に重要です。ここでは、具体的なリスクとその対策について詳しく説明します。
6.1 インフレリスク
インフレは、資産の実質価値を減少させる大きなリスクです。特に長期的な視点で見ると、インフレによって生活費が大幅に増加する可能性があります。
インフレリスクを管理するための方法としては、以下の対策が有効です:
- インフレ連動債への投資:インフレに連動する債券に投資することで、資産の実質価値を維持します。
- 実物資産への投資:不動産や金などの実物資産に投資することで、インフレの影響を受けにくいポートフォリオを構築します。
最近はどんどんモノの値段が上がってきて、インフレを実感するよね。実物への投資は行っていきたい!
6.2 市場リスク
市場リスクは、株式市場や債券市場の変動によって資産価値が減少するリスクです。特に経済危機や金融不安が発生した場合、短期間で大きな損失を被る可能性があります。
市場リスクを管理するための方法としては、以下の対策が有効です:
- 分散投資:複数の資産クラスに分散投資することで、市場リスクを軽減します。
- 安全資産の確保:一部の資産を現金や短期国債などの安全資産に投資することで、市場の変動に対するクッションを持たせます。
市場のリスクは検討しておかないといけないね!
6.3 長寿リスク
FIREを達成した後、予想以上に長生きすることで、資産が尽きるリスクがあります。この長寿リスクを管理するためには、長期的な視点での資産運用が求められます。
長寿リスクを管理するための方法としては、以下の対策が有効です:
- 年金の活用:年金を最大限に活用し、定期的な収入を確保する。
- 引き出し戦略の見直し:定期的に資産の引き出し戦略を見直し、持続可能な生活を維持するために必要な調整を行う。
長生きすることはうれしいけど、お金がかかることは理解しておかないといけないね!
まとめ
FIREを目指すための4%ルールは、退職後の生活費を計画する上で非常に重要な指針です。しかし、具体的な資産準備とリスク管理が不可欠です。分散投資や長期的な視点での投資を実践し、FIRE達成後も適切な資産管理を行うことで、持続可能な生活を維持できます。この記事が、FIREを目指す若者たちにとって役立つ情報を提供し、具体的な行動計画の参考になることを願っています。
最後まで見てくれてありがとうございました!次の記事もお楽しみに!コメントなどお待ちしております!
参考論文概要
2023年 退職の時間:4%引き出しルール (Time to Retire: The 4% Withdrawal Rule)
著者:Rob Brown(経済学博士、ファイナンシャルプランナー)
概要:
この論文は、退職引き出しアプローチとして最も一般的に参照される「4%ルール」を評価し、より優れた退職ルールを提案しています。従来の退職引き出し分析が直面する2つの主要な問題点、すなわち、過去の米国株式と債券市場のリターンに依存することと、資産クラスのリターンを独立して同一の分布を持つ乱数変数でモデル化する仮定について検討しています。
結論:
新しい退職分配ルールを提案し、年齢が上がるにつれて引き出し割合を増やしながら、最低月次分配をドルで表すことを前提としています。このアプローチは、簡単で実行が容易で透明性があり、退職者の標準的な生活水準を著しく向上させる結果をもたらします。特に、新しいルールは市場が高いときにより多くの株式を売却し、低いときに少なく売却することで、IRR(内部収益率)を大幅に向上させます。また、この新しいルールは退職者のポートフォリオを完全に消費し、未使用の残高を残さないという点でも優れています。
2018年 日本における老後の資産減少行動:予防的貯蓄と遺産動機の相対的重要性 (The Wealth Decumulation Behavior of the Retired Elderly in Japan: The Relative Importance of Precautionary Saving and Bequest Motives)
著者:Yoko Niimi(政策研究大学院大学 助教授)
著者2:Charles Yuji Horioka(神戸大学 名誉教授、経済学博士)
概要:
この論文は、日本の退職高齢者の資産減少行動の決定要因を分析し、予防的貯蓄と遺産動機の相対的重要性を評価しています。2つの家庭調査から得られたデータを用いて、退職高齢者の資産減少率が予想よりも低い理由を説明するために、予防的貯蓄と遺産動機の相対的重要性を評価しました。
結論:
日本の退職高齢者の資産減少率が予想よりも低い理由として、予防的貯蓄が比較的重要な役割を果たしていることが示されています。さらに、親の介護負担も資産減少行動に影響を与えている可能性が示唆されています。
2019年 日本における退職、健康、長期介護の資金調達 (On Financing Retirement, Health Care, and Long-Term Care in Japan)
著者:Ellen R. McGrattan(ミネソタ大学 経済学教授)
著者2:Kazuaki Miyachi(大阪大学 経済学博士)
著者3:Adrian Peralta-Alva(国際通貨基金(IMF)エコノミスト)
概要:
日本は人口の高齢化に伴い、退職、健康管理、および長期介護の費用をどのように賄うかという問題に直面しています。この論文は、これらの問題に対処するための政策オプションの影響を分析し、消費税率の段階的な引き上げが他の資金調達オプションと比較してより良いマクロ経済パフォーマンスと高い福祉を提供することを示しています。
結論:
退職、健康管理、および長期介護の費用を賄うための消費税率の段階的な引き上げが、社会保障拠出金の引き上げや債務融資、健康管理および長期介護の自己負担増加よりも良い結果をもたらすことが明らかになりました。
2021年 日本における退職、幸福、健康 (Retirement, Happiness, and Health in Japan)
著者:S. Okamoto(同志社大学 経済学部 教授)
著者2:E. Kobayashi(早稲田大学 社会科学部 准教授)
概要:
この研究は、2004年から2019年まで毎年実施された日本の全国家庭調査を利用し、日本の成人の退職が幸福と健康に与える影響を評価しています。退職が男性の幸福を増加させ、心理的ストレスを減少させる一方で、他の健康指標への影響は観察されませんでした。
結論:
退職が男性の幸福を増加させ、心理的ストレスを減少させるが、収入の減少に対する満足度が低下することが示されました。文化的・レクリエーション活動への支出割合が増加することも観察されました。
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